ミシガン州に住んで丸8年。5年前にデトロイト市内に引っ越しました。デトロイトのことや、自分のこと、大好きなマライアのことなどについてのブログです。(photo by nasa)


by dice_michigan
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

出向社員という身分

日記にも書いたが、今週で僕は出向を終えて、来週からは自分の会社のオフィスに戻る。今日は2年間の出向生活を振り返ってみようと思う。

僕の出向が決まったのは2003年の1月終わりのこと。まだ入社してから半年も経っていなかったときだ。初めはインディアナの片田舎にある顧客オフィスに配属されるという話もあったが、「田舎はイヤです!」ときっぱり自分の希望を伝えた結果、「それなら」ということで今の顧客のオフィスに行くことになった(ちなみにインディアナには僕の同僚が行き、彼は「もうミシガンには帰りたくない」とまで言うほど向こうの生活に満足しているようだ。世の中うまく働くもんだ)。

顧客は社員数数十万人という巨大な会社。僕はその中でもエンジニアリング部門に配属され、製品開発に携わることになった。出向社員(顧客オフィスではレジデントエンジニアと呼ばれている)はサプライヤー側からしてみれば顧客の内部情報を迅速に取得できるし、顧客側からすると人件費のかからない労働力が確保できるというメリットがある。もちろん顧客の機密情報などは持ち出すことは出来ないけど、なんとなく顧客オフィスの体制や雰囲気、「今こんなことが起きているんですよ」という生の情報を自分の会社に伝えることができて、重宝されていた。また、顧客の仕事の仕方を学んで、それを自分の会社に持って帰ることで、ビジネスのプロセスなんかも効率化することが出来るという利点もあった。

最初の勤務先はデトロイトから25マイルほど北に行ったPontiacという街だった。初めは分からないことだらけで、戸惑うことばかり。大きな組織なので一人一人の責任がはっきり区分けされていて、「私に聞かれても分からない」とか「これは私の領域ではない」などと言われてしまう始末。どのグループがどんなことをして、どういう風に関係しているのかということを学ぶのに長い時間がかかった。幸い出向先の同僚たちにサポートしてもらえたし、自分の会社からも温かくサポートしてもらえたので、少しずつ組織の成り立ちや仕事を学ぶことができた。

それから半年ほどして、勤務地がWarrenという街に移転した。Pontiacでは同じグループでも机はバラバラで徒歩1分かけて同僚に話に行ったりしたが、Warrenではグループが固まっていたので、仕事がしやすくなった。また少しずつ人脈も広がって行き、自分や自分の会社の名も知られるようになった。時にはエグゼクティブなどのお偉いさんと接する機会もあった。2年間の間にいろいろな部門にいる何百人という人たちと出会って、何かしらの仕事をしていくという経験は何事にも代えがたい。他のサプライヤーの日本人などと出会えたこともすごく貴重な体験だった。こういう人脈は将来的にも有効に活用できる財産になったと思う。

また、縁あってDも同じ顧客のIT部門にコンサルティングをすることになった。勤務先も部門も違うので仕事のつながりはまったくないが、会社のGLBT団体のイベントなどに一緒に参加したり、会社自体の社風なんかについて情報を共有しあえたりできたことがうれしかった。

1年以上経って仕事に慣れてくるとやり方もだいぶわかってきて、効率的に物事を進めることができるようになった。初めは悪戦苦闘していろいろな人に電話をかけまくったりして何日もかけてやっていたものが、ほんの数十分でできるようになるという違いは大きい。そうやってちゃきちゃきと仕事を進めることに充実感を覚えたが、一度コツをつかんでしまうと仕事は割と簡単でやりがいやモチベーションが低下し、次の目標が必要なことも認識していた。

「このままレジデントとしてある意味ぬるま湯につかった状態を続けるよりは、自分の会社に戻ってもっと挑戦的な仕事に取り組みたい」、それが僕が出した結論だった。そう決意したのが約半年前で、それから少しずつ自分の会社の上司や顧客オフィスの上司に自分の希望を伝え始め、根回しを進めてきた。「ここまで顧客オフィスで実績を積んできた君を戻すのは惜しい」とも言われたが、今まで培った経験を自分の会社に持ち帰って有効に活用できること、代わりの人にも同じような経験を積んでもらうことが将来的にも会社のためになることなどを少しずつ説得していった。引継ぎのために仕事のマニュアルを作ったり、引継ぎ者と何度も会って情報を共有したり、オフィスのセットアップを整えたり、準備は順調に進んだ。まめにマネージャーたちと会って進捗状況を報告し、マネージャーにしてもらうべきこともキチンとしてもらった。そしてちょうどプロジェクトの節目にさしかかった来週ついに異動する手はずが整った。

正直新しい仕事に対するエキサイト感と緊張、今の仕事場や仕事仲間を去る悲しさなどのいろいろな感情が入りまじっている。でも、これが正しい決断だったことは確信している。新しく担当する仕事でもたくさんの経験を積んでいこうと思う。
[PR]
by dice_michigan | 2005-04-30 10:59 | 自分史番外編