ミシガン州に住んで丸8年。5年前にデトロイト市内に引っ越しました。デトロイトのことや、自分のこと、大好きなマライアのことなどについてのブログです。(photo by nasa)


by dice_michigan
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出向社員という身分

日記にも書いたが、今週で僕は出向を終えて、来週からは自分の会社のオフィスに戻る。今日は2年間の出向生活を振り返ってみようと思う。

僕の出向が決まったのは2003年の1月終わりのこと。まだ入社してから半年も経っていなかったときだ。初めはインディアナの片田舎にある顧客オフィスに配属されるという話もあったが、「田舎はイヤです!」ときっぱり自分の希望を伝えた結果、「それなら」ということで今の顧客のオフィスに行くことになった(ちなみにインディアナには僕の同僚が行き、彼は「もうミシガンには帰りたくない」とまで言うほど向こうの生活に満足しているようだ。世の中うまく働くもんだ)。

顧客は社員数数十万人という巨大な会社。僕はその中でもエンジニアリング部門に配属され、製品開発に携わることになった。出向社員(顧客オフィスではレジデントエンジニアと呼ばれている)はサプライヤー側からしてみれば顧客の内部情報を迅速に取得できるし、顧客側からすると人件費のかからない労働力が確保できるというメリットがある。もちろん顧客の機密情報などは持ち出すことは出来ないけど、なんとなく顧客オフィスの体制や雰囲気、「今こんなことが起きているんですよ」という生の情報を自分の会社に伝えることができて、重宝されていた。また、顧客の仕事の仕方を学んで、それを自分の会社に持って帰ることで、ビジネスのプロセスなんかも効率化することが出来るという利点もあった。

最初の勤務先はデトロイトから25マイルほど北に行ったPontiacという街だった。初めは分からないことだらけで、戸惑うことばかり。大きな組織なので一人一人の責任がはっきり区分けされていて、「私に聞かれても分からない」とか「これは私の領域ではない」などと言われてしまう始末。どのグループがどんなことをして、どういう風に関係しているのかということを学ぶのに長い時間がかかった。幸い出向先の同僚たちにサポートしてもらえたし、自分の会社からも温かくサポートしてもらえたので、少しずつ組織の成り立ちや仕事を学ぶことができた。

それから半年ほどして、勤務地がWarrenという街に移転した。Pontiacでは同じグループでも机はバラバラで徒歩1分かけて同僚に話に行ったりしたが、Warrenではグループが固まっていたので、仕事がしやすくなった。また少しずつ人脈も広がって行き、自分や自分の会社の名も知られるようになった。時にはエグゼクティブなどのお偉いさんと接する機会もあった。2年間の間にいろいろな部門にいる何百人という人たちと出会って、何かしらの仕事をしていくという経験は何事にも代えがたい。他のサプライヤーの日本人などと出会えたこともすごく貴重な体験だった。こういう人脈は将来的にも有効に活用できる財産になったと思う。

また、縁あってDも同じ顧客のIT部門にコンサルティングをすることになった。勤務先も部門も違うので仕事のつながりはまったくないが、会社のGLBT団体のイベントなどに一緒に参加したり、会社自体の社風なんかについて情報を共有しあえたりできたことがうれしかった。

1年以上経って仕事に慣れてくるとやり方もだいぶわかってきて、効率的に物事を進めることができるようになった。初めは悪戦苦闘していろいろな人に電話をかけまくったりして何日もかけてやっていたものが、ほんの数十分でできるようになるという違いは大きい。そうやってちゃきちゃきと仕事を進めることに充実感を覚えたが、一度コツをつかんでしまうと仕事は割と簡単でやりがいやモチベーションが低下し、次の目標が必要なことも認識していた。

「このままレジデントとしてある意味ぬるま湯につかった状態を続けるよりは、自分の会社に戻ってもっと挑戦的な仕事に取り組みたい」、それが僕が出した結論だった。そう決意したのが約半年前で、それから少しずつ自分の会社の上司や顧客オフィスの上司に自分の希望を伝え始め、根回しを進めてきた。「ここまで顧客オフィスで実績を積んできた君を戻すのは惜しい」とも言われたが、今まで培った経験を自分の会社に持ち帰って有効に活用できること、代わりの人にも同じような経験を積んでもらうことが将来的にも会社のためになることなどを少しずつ説得していった。引継ぎのために仕事のマニュアルを作ったり、引継ぎ者と何度も会って情報を共有したり、オフィスのセットアップを整えたり、準備は順調に進んだ。まめにマネージャーたちと会って進捗状況を報告し、マネージャーにしてもらうべきこともキチンとしてもらった。そしてちょうどプロジェクトの節目にさしかかった来週ついに異動する手はずが整った。

正直新しい仕事に対するエキサイト感と緊張、今の仕事場や仕事仲間を去る悲しさなどのいろいろな感情が入りまじっている。でも、これが正しい決断だったことは確信している。新しく担当する仕事でもたくさんの経験を積んでいこうと思う。
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by dice_michigan | 2005-04-30 10:59 | 自分史番外編
州外の人にはあまり興味のない話題かもしれないけど、最近デトロイトに引っ越していろいろとデトロイトのことについて書いてみたくなったので、新カテゴリー追加しました。まだまだ知らないことも多いデトロイトだけど、少しずつ探検していこうと思います。
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by dice_michigan | 2005-04-29 11:49 | お知らせ

Midtown

「デトロイト市」といってもその面積は広く、市内には数え切れないほどの地域がある。僕もまだその全てを知り尽くしているわけではないのだが、デトロイト都市圏に3年近く住んできて、なんとなく「あの辺はあんな感じ」みたいなイメージがつくようになったので、これから思いつく順番に一つずつ地域紹介をしていこうと思う。

デトロイトに観光に来る人は少ないと思うが、何かのついでに寄るときには参考になるとうれしいな。

Midtown
僕らが現在住むミッドタウンは、デトロイトの中心地から北に約1マイル、交差点でいうとWoodward Ave.とWarren Aveのあたりにある。ここは大学(Wayne State University)、美術館・博物館(Detroit Institute of Artsなど)、病院などの施設が集まる地域で、別名Cultural Districtとも呼ばれている。Woodward Ave.と並行して通るCass Ave.にちなんでCass Corridorと呼ばれることもあるようだ。


ミッドタウンで一番の名物はDIAことデトロイト美術館だろう。自動車産業をモチーフにしたディエゴリベラによる壁画は、ここでしか見られない貴重な作品だ。その他にも自動車業界が栄えていた頃の豊かな資産力を活かしてか、ここには有名な絵画がたくさん貯蔵されていて、見所たくさん。最近は改修・拡張工事も進んで、だいぶきれいになってきているようだ。ここのお隣にはDetroit Film Theatreがあって、歴史深いシアターで芸術的な映画をたくさん上映している。

その他にもNew Detroit Science Center(IMAXシアターがある)、Museum of the African American History(全米では最大規模の黒人のための博物館。奴隷制度や公民権運動のことがよく分かる)、Detroit Historical Museum(実はまだ一度も行ったことありません)といった博物館が固まっている。

DIAに隣接するのがWayne State University。公立の大学で規模もなかなか大きいが、ミシガン大学(University of Michigan)やミシガン州立大学(Michigan State University)などに比べると、全国的には知名度は低い。それでもキャンパスの周りに暮らす学生も多くて、平日の昼間などは学生たちで活気あふれるところだ(でも夜間や週末はガラーンとしてしまうのがデトロイトらしいところ)。

Detroit Medical Centerには大学付属病院を初めとして、数々の病院が存在する。普段病院のお世話になることは滅多にないが、いざというときに歩いて病院にいけるのは便利かも。

それらの施設の他にも、レストランやバー、コンドミニアム、アパートなども多く、デトロイトの中ではなかなか活気のあるエリアである。

僕らのお気に入りスポット:
Avalon International Breads:とっても雰囲気のいいベーカリー。コーヒーやデザートも充実しているので軽くお茶したいときには最適。
Agave:アップスケールのメキシカンレストラン。洗練された味付けがおいしい。
The Bronx:穴場バー。薄暗い店内は混み合い、ジュークボックスを聞きながら賑やかに会話できる。
Garden Bowl:アメリカ最古のボーリング場だそう。70年代のディスコっぽいファンキーな作り。
Traffic Jam & Snug:変わった名前のレストラン。アットホームな雰囲気で、バラエティーに富んだメニューの食事を味わえる。

まだまだ探検中。デトロイト周辺にお住まいの方で、お勧めのスポットとかあったら教えてください。
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by dice_michigan | 2005-04-29 11:06 | デトロイト・ミシガン

デトロイトの民族

「デトロイトは黒人が多い」ということは有名だと思うが、それ以外にもいろいろな地域からの移民が多い。今日は僕の目で見たデトロイトの生の移民事情を紹介。

ヨーロッパ
まず、この辺に住んでいると、苗字が「なんとかスキー」という人たちに出会うことが多い。東欧やロシアなどでよくある名前らしいが、デトロイトで一番代表的なのはポーランド人。Pole TownやHamtramckというポーランド人の街があり、そこではおいしいポーランド料理やビールを楽しむことができる。ポーランド以外にも、ハンガリー、マケドニア(旧ユーゴスラビア)、ウクライナ、ルーマニア出身の人たちにもよく会う気がする。デトロイトの最大の観光地、Greek Townは文字通りギリシャ人の街。日常的にはそれほど多くのギリシャ系の人たちに会うことはないが、なんとなく他の東欧系と並んでギリシャ人も中西部に多くいるイメージがある。(My Big Fat Greek Weddingも舞台はシカゴだったしね)

日本人なんかと同じく、自動車業界の仕事の関係でこちらに来ているドイツ人を始めとする西ヨーロッパ人の姿もよく見かける。その他にも、産業化の時代に工場の重要な労働力となったアイルランド系の移民も多いようで、デトロイトにはCorktownというアイリッシュの街もある。ここにはアイリッシュパブがたくさんあって、ビールを飲みに行くには楽しい街。

また、ユダヤ人の数もそこそこいるらしく、最近デトロイト郊外にオープンしたホロコースト博物館は有名。他にもユダヤ教の墓地や聖堂などもちらほら見受けられる。

中東
他にもよく目立つのは中東系の人たち。デトロイトの近くにあるDearbornという街は、Ford社の本社があると同時に全米最大の中東系の街でもあるのだ。職場なんかでもターバンをかぶった社員がいたりする。イラク出身の人が多いようだが、その他にもパキスタン人(厳密には中東ではないけど)やレバノン人なんていうのも知り合いの中に多い気がする。宗教はやはりイスラム教徒が多いのだが、レバノンやイラク出身の人にはキリスト教徒が多いのも割と意外な事実ではないだろうか。

アジア
アジア人の中では中国系がやはり多いが、その他にもフィリピン人やベトナム人の姿もよく見かける。特にMacomb郡のMadison Heights周辺には、ベトナムやフィリピン系のレストランやスーパーが多い。僕が最近まで住んでいたTroyという街は、意外とインド人や韓国人の人口も多いようで、インド系、韓国系のスーパーやレストランなども見かけることがあった。でも、全体的にアジア人の人口は西海岸やカナダに比べるとあまり多くない。

デトロイト日本総領事館の在留届の届出データによると、デトロイト都市圏の日本人の人口は6000人ほどだそうだ(実際はもっといそうなものだが)。自動車産業都市デトロイトということで、日本の自動車関係の会社も多く、赴任者として来ている家族は非常に多い。そのほとんどは郊外のNovi周辺やAnn Arbor周辺に住んでいるようだが、僕の知り合いのようにデトロイトの大学に通う留学生などはデトロイトで暮らしている人もいる。でも、デトロイト地域に住む日本人の多くは一時的に来ている赴任者や留学生なので、5年、10年経つと顔ぶれががらっと変わるようだ。昔からデトロイトに住む日本人にとっては少し寂しい現象ではないだろうか?

北アメリカ
デトロイト内にもMexicantownがあるくらいなので、メキシコ人の姿も見ることがあるが、テキサスにいた頃に比べるとやはりその数は限られている。ミシガンと国境を接していることから、カナダ人と会うことは非常に多い。見た目は変わらなくても少し発音や語彙が違っていたりしておもしろい。

こう書くと、デトロイトって人種のるつぼという感じで、いろいろな人がいて楽しそうに読みとれるかもしれないが、実際は民族内の固まりが強く民族間の交流はあまり盛んではないので、そんなにエキサイティングなものでもない。ただ、その気さえあれば他の文化と接したり、いろいろな国の料理を食べることは可能なので、その辺は面白いと言えば面白い。
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by dice_michigan | 2005-04-28 11:33 | デトロイト・ミシガン

根回し

仕事をうまく進めるには根回しが重要だと思う。「根回し」というと聞こえは悪いかもしれないが、要は何かアクションを取る前に当事者同士で話を合わせておくことだ。たとえば、他のグループに何かを依頼するとき、メールで「これお願いします」と書くだけでなく、電話か面と向かって「さっきメールした(もしくはこれからメールする)件だけど、これこれこういう状況なので、よろしくねー」とフォローを入れる。そうすることで詳細情報も伝わりお互いの理解も深まる。

響きは悪いが「本音と建前」も同じように重要だ。メールでは建前として正式に仕事を依頼し、電話もしくは個人宛メールで「実はあのメールの本意はこういうことだったんだよ」と本音を伝える。そうすることで、「何このメール?」と反発を招くことも防げる。

「一番初めに書くメールに本音も書けばいいじゃない」と思われるかもだが、グループのメンバーやマネージャーなどをCc:に入れるときは、情報は必要最小限にして、なるべく本音の部分は出さないようにしている。そうすることで、送信者が長々とメールを書く時間も省けるし、Cc:で受け取った人たちも要点だけをかいつまんで、余計な情報は読まないですむ。

物事を円滑に進めることってある意味芸術じゃないかと思う。
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by dice_michigan | 2005-04-27 09:30 | 僕の世界

残業

日系企業で楽しく働いている僕だが、1つだけ嫌なところがある。「無駄な残業」だ。アメリカの現地オフィスでは、残業はしたい人はすればいいという感じで、定時で帰ることも可能なのだが、日本側のオフィスの人たちは毎晩10時前後まで残業している。「それが当たり前」、「他のみんなもそうしている」と割り切ってやっているようだし、朝は遅めでも許されるので慣れてしまえばどうってことないのかもしれないが、僕にしてみればそんな生活は考えられない。僕の理想的な生活は、定時で仕事を終えて、ジムに行って、食事は家で作って、夜は家でくつろぐ。そんな生活、逆に日本では考えられないほど優雅なのかもしれない。

そもそも日本ではまだまだ奥さんやお母さんが家事一般を受け持ってくれることが多いので、そういう生活スタイルも許されるのかもしれない。また、「それくらい働かないと競争には勝てないんだよ」とも言われそうだ。現に一部のアメリカ企業でも残業が多い仕事はあるし、僕だって必要なときは残業しても構わない。でも、あくまで「必要なときに限って」残業するだけであって、毎日当たり前のように残業するのはごめんだ。もしそうなったら「この仕事は僕一人ではこなせません。もう一人雇ってください」ということになるだろう(実際にはそう簡単に解決する問題ではないかもしれないが)。

残業が当たり前になってしまうと、何事も後回しになって遅い時間になるまで動き出さないことが多い。それと関連があるのか、日本の会社は時間にルーズな人が多い。「XX時から会議」と言ってあってもいろいろな理由で遅れることが多い。それなのに納期などのデッドラインはきちんと守られるのがちょっと不思議だけど。

「5時に帰る」という目標があれば早め早めに仕事を片付けようと思うので、効率的だと思うんだけどねー。
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by dice_michigan | 2005-04-26 09:51 | 僕の世界
アメリカ人は公私を切り分けて、割り切って生活する人が多い。一緒に仕事をしていても、「これは私の担当ではない」と言われることは多いし、仕事が残っていても5時になると「家に帰る時間だ、じゃっ」と帰ってしまうことが多い(人によっては子供をピックアップしたり、どうしても外せない用事があるのだが)。また、面倒くさいことはやりたがらず、いろいろと理由をつけて避けようとするのも特徴だ。必然的に、面倒くさい仕事は日本人に回ってくることが多い。日本人のほうは、「何で私がこんなことしなきゃいけないのよ」と疑問を感じつつも、とりあえず言われたことはやるという感じだ。

一般的にアメリカ人は「仕事は仕事」と割り切って、あまり労力を注ぎ込まない。いかに効率よくチャチャッと仕事を片付けられるかに集中し、時間をかけてじっくり考えたり同僚と議論を重ねることなどあまりない。これが僕の一般的アメリカ人社員のイメージだ。それが必ずしも悪いわけではなく、そういう風にやると物事もスピーディーに進み、行動力のあるアメリカ人の手にかかると何かを変えることも簡単にできてしまうことが多い。

逆に日本人は、じっくり考えて話し合いを重ねてから行動に移すスタイルの人が多く、アメリカ人からしたら優柔不断でまどろっこしいと思う。正直、定時ギリギリになって「よし、会議をしよう」なんて言われるのは僕も嫌い。計画を練って練って最適な答えを見つける日本人に対し、アメリカ人は「とりあえずやってみて、それでどうなるか見てみよう」という人が多い。

そういう考え方の違いで日本人・米人間の摩擦が生じることがあるが、なんだかんだ言って妥協点を見つけたり、お互いの良さを認め合ってうまく仕事をしていくことも可能だ。これこそ究極の異文化体験と言えよう。
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by dice_michigan | 2005-04-25 06:47 | 僕の世界
「外資系の会社ってバリバリ働けそうで、なんかかっこいいよね」と思う人は多いかもしれない。僕も若かりし頃(今でも若いけどさ!さらに若かった頃っていうことよ!)は「日本企業って何だか頭が固そうだし、古いしきたりやルールも多くて息苦しそう。アメリカの会社で自由にのびのび仕事したいな」と考えていたことがあった。でも実際日系企業の仲間入りをして、また顧客であるアメリカの会社と付き合ってみると、自分が想像していたものとはまた違う姿が見えてきた。今日はそんな僕が見たアメリカの会社と日本の会社の違いを書いてみようと思う。(ここに書くことは自動車製造業独特のものもあると思うので、全ての企業に当てはまるものではないことをあらかじめお断りします)

まず、日本もアメリカもそうだと思うけど、会社は大きければ大きいほど、動きが鈍くなるということが言える。「大手企業勤務」に憧れる人は多いと思うが、出向社員として全米最大の企業の中で仕事をしていると、「大企業ってなんて面倒くさいところなんだ」と感じる。何をするにもペーパーワークが必要で、効率が悪い。「これはできない、あれはできない」などといった制約も多い。何か探し物をするときに膨大なイントラネットの情報を検索しても、自分が探している情報が得られることはめったにない。社内で派閥みたいなものがあり、グループ間の政治的な争いなどもある。「本当に仕事ができる人」よりも「上司や組織の文化にうまく合わせてやっていける人」の方が評価が高い。そんな「井の中の蛙」状態になるのもどうかなと思う。

大企業勤務のいい点を挙げるとすれば、厚生面での待遇(休暇、保険、貯蓄制度)がしっかりしているということ。景気が悪いため派遣社員のレイオフや早期希望退職などを使った人員削減は進んでいるが、それでも生き残った社員たちに対する待遇は厚い。「有給が5週間もある」なんて、公務員でもない限りなかなかないことだ。

一方日本企業は、表面的には社員に対する扱いがイマイチ(給料が安い、残業が多い、休みが取れない、etc.)という印象はうけなくもないが、それでもなんだかんだ言って社員はそれなりに会社に対して忠誠心を持っているし、「会社にお世話になっている」という気もしていると思う。

日本企業のいいところは、社員の面倒をよく見てくれるということかなと思う。もしアメリカ企業で失敗ばかり続ける社員がいたら、「こいつは使えない」と即クビになるだろう。それが日本企業だと、「こいつはしょうがないなー」と思われつつも、会社や上司が根気よく面倒を見てくれる印象を受ける。仕事のパフォーマンスはイマイチでも、人間性や努力を評価してくれる気もする。アメリカ企業が結果重視、自己責任主義に対して、日本企業は一度会社の中に入ってしまえば家族のように面倒を見てもらえるような感じだ。

「だから日本企業はダメなんだ」と批判することもできるけど、僕はこういう人間臭い組織も嫌いではない。社員に「安心感」や「信頼」を植えつけてくれる要因になると思う。

話は変わるが、自動車製造業界は日系の企業が好調だ。アメリカ人が不思議に思い、羨望のまなざしを向けるほど日系企業は元気がよく、急激に売り上げを伸ばしている。やはり品質を重視して、緻密に計画されたスケジュールに従ってきっちりと作られている製品は魅力的だが、それにも増して、社員の面倒をしっかり見る会社の姿勢も強さの秘訣なのかなと思う。
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by dice_michigan | 2005-04-24 07:48 | 僕の世界
以前は「就職するなら外資系!」と単に憧れだけでそう思っていた自分だったが、結局日系の会社に就職して、お堅い日本の製造業界の一員として仕事をしている。唯一特殊なのは、うちはアメリカ現地法人の会社なので、一応はアメリカの法律や慣習にならっているということ。そして僕は今現在顧客であるアメリカ企業のオフィスに常駐して仕事をしているので、「アメリカの大企業」の仕組みも経験できている。

日系企業とアメリカ企業、どちらがいいかということは一概には言えないが、今まで働いてきて気がついた点、特に今回は「お金」をキーワードに書いてみようと思う。

日系企業はとにかく給料が安いことで有名だ。社長が何十億も稼ぐようなアメリカ企業とは違って、日本の会社って重役とかでもせいぜい年収何千万の世界(だよね?)。全体的に給料が低めなのは仕方がないことだとは思う。でも僕にしてみれば、過去の日本での就職活動経験から「初任給=年収300万円」くらいが妥当なのかなと思っていたので、一番初めにうちの会社からオファーをもらったときは「え、そんなにもらっちゃっていいの?」と少しうれしかった(当時は今に比べてドル高だったし)。だが周りのアメリカ人にしてみると、それでも給料は安いのだという。

面倒くさいので統計などは調べていないが、周りのアメリカ人から聞いた限りでは、新卒でも年俸が5万ドルなんていうのは当たり前らしい。確かにそれに比べてしまうと、日系の会社の給料はすごく安いことになる。(日本で「初任給500万」なんて、特別な資格でもない限り無理な話だよね?)

アメリカでも地域によって格差が大きいと思うが、僕の周りでは年収が10万ドル(1000万円)くらいもらえようになると、アッパーミドルの仲間入りという感じがする(統計的には7.5万ドルくらいから「高所得者」の部類に入るそうだが)。高学歴になるほど給料も上がる傾向にあり、マネージャークラスはマスター以上の学歴を持っている人が多い。億万長者もぞろぞろいるアメリカなので、貧富の差はかなり激しく、金持ちはとてつもない豪邸で優雅な生活を楽しんでいる。

アメリカの企業は、給料が高い分競争も激しく、結果が出ないと即クビなんていうこともよくある話だ。いくら偉くなってもそういうシビアな世界はついてまわるようで、CEOが突然解雇されたりする話もよくニュースで聞く。その代わりいい結果を出せばその分ボーナスや昇給という形で報酬が支払われる。

そんな中、「安定」を求めるアメリカ人ももちろんいて、そういう人たちは公務員になったり、労働組合で固く守られた業界で働いたり、安定した会社で一生働いたりしている。それはそれで、手当てや休暇などで優遇されて、ゆとりのある生活を送れているようだ。

全体的に見て、アメリカは日本よりもお金に執着する傾向が強い気がする。日本だったら「やりがい」とか「ゆとり」、「成長」なんていうキーワードが重視されるが、アメリカではどんな肩書きを持って、どれだけ稼いで、どれだけいい車に乗って大きな家に住むかでその人のステータスが決まっている気がする。「やりがい」なんかよりも、どれだけ効率よく手間をかけないで仕事をこなすことができるのかが重要な国、それがアメリカという国のような気がする。
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by dice_michigan | 2005-04-23 10:36 | 僕の世界

エンジニアという職業

小学生の頃から数学や理科よりも国語や社会科の方が得意な子だった。大学も迷わず文系を選び、難しい数学や理系の授業はなるべく避けてきた。

そんな僕が、何を間違えたのか「エンジニア」として今の会社に雇われてしまった。日本のIT業界などでは文系出身のシステムエンジニアとかもいるからそれほど珍しいことではないかもしれないが、製造業というお堅い業界では「エンジニア=技術者=理系」という図式が成り立っている感じがする。とにかくまわりは理系出身だらけで、「ちょっと自分とは違う世界にいるな」という感覚と、そういう人たちに感化されて自分も理系人間に近づいているような感覚の両方を感じる。

僕の周りにいるエンジニアの典型的な傾向:
1.論理的思考が好きで、何に対しても理由や根拠をつけたがる。
2.数字や記憶力に強い
3.ファッションに疎い

この「3.ファッションに疎い」というところが僕には辛いところ。まわりは髪型や服装にあまり気を使わない、オタクっぽい人ばかり(なかにはそうじゃない人もいるんだけどさ)。「できたらもっと華やかな職場で、美しい人たちと仕事がしたいな」と時々思う。自動車業界のエンジニアたちの中ではゲイ人口も少なめだ(ただ単にみんな隠しているだけなのかもだけど)。出向先にはゲイ組織があるのだが、「全米最大の企業なのに、これっぽっち?」と思えるほど小規模で、その中でもマーケティングやコミュニケーション部門からの人たちが目立つ中、エンジニアのメンバーは数えるほどだ。

というわけでファッションは少しいけ好かないのだが、エンジニアたちは純粋に「いいものを作ることが好き」という人が多く、基本的にはいい人が多い。ドロドロした人間関係もなく、策略や陰湿ないじめなどもない。そういった、人と付き合いやすい環境は好きだ。

とりあえず、少なくともあと数年は今の仕事を続けるつもりだが、その後は何をしようかと思案中。次は製造業以外の業界に入ってみたい気がするが、具体的に自分が何を出来るのかはまだわからない。

エンジニア以外の業界はどんな感じなんだろうといつも思う。僕のイメージでは、金融業界は競争が激しく容易に蹴落とされそうで嫌、マーケティングはしゃべり上手じゃないとできないので無理、IT業界は今までの経験から自分が理系人間ではないことがよくわかったのでちょっと辛い、貿易会社はよく分からない。今漠然と考えているのは、情報や統計、地図などを扱うようなサービス業界がいいかも、ということ。やっぱり自分の得意なこと、好きなことを活かせる仕事がいいからね。でもアメリカで、自分にぴったりの仕事を見つけるのも、かなり大変なことかもしれない。自分でも努力するつもりだが、「運」や「縁」が僕をうまく導いてくれることを祈る。
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by dice_michigan | 2005-04-22 11:08 | 僕の世界