ミシガン州に住んで丸8年。5年前にデトロイト市内に引っ越しました。デトロイトのことや、自分のこと、大好きなマライアのことなどについてのブログです。(photo by nasa)


by dice_michigan
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ミシガン州と僕

ミシガンに初めて来たのは2002年の夏。初めて空港に降り立ち、周囲の風景を眺めた感想は「木が高い」だった。当時住んでいたテキサスは暑くて乾燥しているため低木が多く、ミシガンにあるような背の高ーい木を見るのは珍しいことだった。そんな緑豊かなミシガン、五大湖にも囲まれて自然が豊富。「ミシガンってきれいなところだな」というのが僕の第一印象だった。

ミシガン州は黒人の人口も多いことを知っていたので、「オースティンなんかよりも人種のるつぼという感じで楽しいかも」、「本格的なヒップホップやソウルミュージックが聴けるかも」などと期待していたのだが、実際に来てみると予想していたものとは全く違う世界でびっくりした。何しろ「黒」と「白」がはっきりと分かれていて、両者の交流がほとんどないといっても過言ではないようなところ(そんな中、アジア人はどちらかと言うと「白」に近い位置にある)。「この町は白人(黒人)の町」という感じで、そうではない人は近づかなかったり、「そこに行く」と誰かに言うと、「何でそんなところに行くの?」と不思議がられたり。映画で知っている人も多いと思うが「8マイルロード」が有名なデトロイト都市圏の黒と白の境界線で、その南は黒人の貧困街、その北は白人の中流層の街がある。道路を1つ越えただけで雰囲気ががらっと変わるのにはすごく驚いた。

引っ越してきた当初は大学の町アナーバーの隣町、イプシランティに住んでいた。アナーバーが学生やインテリ層が多く住む閑静な美しい街であるのに対し、イプシはどちらかというと黒人や貧しい人が多く、あまりいいイメージではなかった。「家賃が安め」ということで選んだ僕のアパートは、始めは快適に暮らせていたが、隣人の騒音や駐車場でのうるさいパーティなどには少し戸惑った。とはいえ、危険な目に遭ったことはなかったし、会社までは車で5分、同僚なども近所に住んでいたので、それほど嫌な思いはしなかったのだけど。

それから半年後、勤務地が変わったのと同時にアパートも変えることにした。引越し先はデトロイトの北にあるトロイというアッパーミドルが多く住むエリアだった。高級車が多く目に付くこのエリアに住み始めた頃は、「なんてゴージャスなエリアなの!」とまるで自分もセレブの仲間入りをしたようにうれしかった。新しいアパートもイプシのアパートに比べれば格段に快適で、広々とした間取りと両サイドから注ぎ込む自然光、そして背の高い木々がそよそよとたなびく風景がお気に入りだった。

ところが、しばらく経つとそんな優雅な生活にも変化が訪れてきた。どこへ行くにも車が必要で、近くの「ダウンタウン」と呼ばれる街並みは「え、これだけ?」というほど小規模でお店も少ない。その代わりに郊外に大きな駐車場を備えたエンターテイメント施設やレストランが繁盛している。そういうところに遊びに出ると表面的にはきれいで楽しいが、何だか盛り上がりに欠けるし、周りの人たちとはちょっと考え方やファッションも合わない。「これが『郊外』の生活というものなのか」と気がついた頃には、「トロイってなんて退屈な街なんだ」と思うようになっていた。それと同時に、「僕らはこんなつまらないところで何をやっているんだろう?」という空しさも感じ、去年の夏くらいまではかなりミシガンでの生活に嫌気が差していた。

それ以外にも辛かったのが、いつまでも続く長い冬。まだ僕にとっては雪が珍しいので、11月や12月に降る雪は楽しい。でも1月、2月、そして3月にもなってまだ氷点下の寒いどんよりとした曇り空を見続けると、気分もかなり滅入るものだ。こればかりはもうどうしようもないことなのだけど。今回3度目の冬を迎え、少しずつこの気候にも慣れてきた気もする。

そんなわけで、「ミシガン嫌い。一日も早くミシガンを脱出したい」なんて思っていた僕らにも、去年の夏くらいから少しずつ変化が訪れた。まず、退屈な郊外を抜け出して「危険だから近づかないほうがいい」と教えられていたデトロイトに少しずつ遊びに行くようになったこと。空洞化が進んだデトロイトのダウンタウンは行き先をよく知っていないとあまり面白くはないと思うが、それでも美術館、博物館、劇場、スポーツ観戦施設、ライブ会場、バーなどが多く集まるダウンタウン地区は遊び場も多く、また郊外にはいないような先鋭的な人たちが集まる場所でもあった。

初めて見たデトロイトのコンドミニアムは、廃墟や空き地の中にぽつんと建てられた感じで、「こんな寂しい、危なそうなところに住むのは嫌だ」と感じたのを覚えている。毎日犯罪の恐怖におびえながら暮らすなんて、とてもじゃないけど精神的に悪そうだ。その後見たところも、やっぱり安全面で不安が残るところが多かった。「やっぱりデトロイトは遊びに行くのは楽しいけど、住むとなると話は別なのかな」と思ったこともあった。でもいろいろな物件を見るうちに、「この辺だったら比較的安全」というエリアもいくつも見つけることができて、ついに「ここに住みたい!」と思うような物件も見つけることが出来た。

そして来月からは念願のデトロイト生活が始まる。これから僕のミシガンに対する印象がどういう風に変化していくのか、楽しみだ。
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by dice_michigan | 2005-03-21 10:17 | 自分史番外編