人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミシガン州に住んで丸8年。5年前にデトロイト市内に引っ越しました。デトロイトのことや、自分のこと、大好きなマライアのことなどについてのブログです。(photo by nasa)


by dice_michigan
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

2003年、27歳

仕事にもだいぶ慣れてきた1月の終わりに、顧客のオフィスへサプライヤーレジデントエンジニアとして出向になることが決まった。うちの会社からこの顧客へ人が出されるのは初めてのことで、第一号としていろいろと試行錯誤でやっていた部分も多かったが、その分あまりプレッシャーもなく自分のペースで仕事が出来たので、ある意味とてもいい環境だった。顧客は全米最大の会社ということもあって、まるでお役所のような面倒くさい手続きが多く、物事が進むのも非常に遅い。そんな自分の会社とは全く違った環境を経験できたのも大きな収穫だった。

4月にはDが仕事を辞めてミシガンにやってきた。ミシガンではまだ仕事が見つかっていなかったが、もう半年以上遠距離恋愛をしていて待ちきれなくなったのと、「アメリカ人だし、職務経験もあるし、こっちに来てしまえばきっとすぐに仕事は見つかるだろう」という楽観的な考えがあってのことだった。その後1年以上も失業が続くとはこの時は予想もできなかった。

僕のほうは6月の終わりに初めての日本出張へ。日本の本社を訪れ、日本側のスタッフと一緒に仕事をしながらチームワークを育んでいった。愛知県郊外にあるうちの会社周辺はデトロイトと同じ車社会で、車がないとショッピングや外食もままならないといったようなところだった。ということで、鉄道の駅周辺に滞在していた僕には少しつまらないところで、週末などに名古屋まで遊びに出るのが唯一の楽しみだった。その他にも、出張中は札幌にあるオフィスにも行かせてもらい、おいしい札幌ラーメンや海鮮料理などを味わうことも出来た。

この出張中に日本にあるアメリカ大使館へ就労ビザの申請もしていたのだが、予想以上に時間がかかってしまい、やむなく出張を延長してビザの到着を待つことになってしまった。移民局や大使館を相手にどうすることもできないこの無力感は、ビザや永住権を取る人なら誰でも味わう感覚だろう。ダイヤルQ2に電話をして情報を取りつけたり、大使館にファックスを送って「早くしてー」と懇願してみたけど、どれだけ効果があったのかは不明だ。そうこうしているうちに、待望のビザがようやく届き、1週間遅れでアメリカへ無事帰国することが出来た。

この年の後半から翌年の前半にかけては、Dの失業が僕らの生活に大きな影響を残すことになった。ミシガンは、最大の雇用者である自動車製造業界が不振、おまけにIT不景気でほとんど求人がないというかなり厳しい状況だった。することがなく時間を持て余すD、冬になると寒くどんよりとした気候で外にも遊びにいけない、ミシガンではまだ友達も少なく、村意識が強いミシガン人に溶け込むのも難しいなど、フラストレーションが溜まる状況が長く続いた。この時期がある意味僕ら二人にとっての試練で、喧嘩や衝突も多かったが、それを乗り越えたからこそ今の僕らがあるのだと思う。

そんな中、待ちに待った冬休みはDと二人でミシガンから脱出し、日本へ帰国。2週間あまりの滞在を楽しんだ。Dも僕の実家ではすっかり家族の一員としてもてなされ、家庭的な年末年始の雰囲気がすごく気に入ったようだった。それと同時に生まれて初めて沖縄へも旅行して、本土とは一味違った雰囲気も楽しむことが出来た。
by dice_michigan | 2005-03-11 11:38 | 自分史